2021年12月帰国記

07 January 2022

t f B! P L

 本日1月8日午前0時(UTC+9)をもってようやく隔離期間が終了した。


帰国隔離について思うところはあり、最初はTwitterに書いていたが、ツイートで書き散らさずまとめて書き残すべきだと思い直したのでこのエントリを書いている。

状況が刻々と変わる上ガチャ要素も多いので、「体験が個人依存」であり、今回の経験が明日にはもう役に立たなくなっている可能性は高い。それでも、自分は他人のSNS投稿で準備できたのだし、こういうのは記録しておかないとすぐにどうだったかわからなくなってしまうので、記録に残すことにした。



2021年11月に新たな変異株オミクロンが特定され、12月1日には国土省より日本行きの航空券の新規予約停止要請がなされた(12月2日には撤回)。12月上旬は、現場がかなり混乱している様子が帰国した方々のツイートから窺われた。特に成田は空港周辺の施設に空きがなかったらしく、成田からさらに仙台、名古屋、福岡へ移動しそこで待期期間を過ごされる方々もいらしたようである。

12月下旬に羽田に到着した帰国者の待機施設としてSNSで見かけたのはアパホテル(両国、みなとみらい)、税務大学校寮(和光)、警察大学校寮(府中)、ヴィラフォンテーヌ(汐留、羽田空港)であった。



私は2020年12月にも帰国しており多少の心の準備はできていたが、今回の帰国では当然ながらその時とはだいぶ様子が変わっていた。


まず、空港内での動線が前回に比較してかなり洗練された。検査結果はモニターに番号が表示されたら聞きに行く形式からアナウンスで番号呼び出しに変更された。帰国者は、前回よりも今回の方がずっと多かったように見受けられた。


また前回は帰国者フォローアップ用のアプリがなく、健康状態の確認は「厚生労働省帰国者フォローアップ窓口」というLINE公式アカウントを通して行うことになっていた。したがって、端末へのLINEインストール状況と、LINEを用いた健康状態確認への同意書が空港係員によりチェックされた。海外の電話番号と連携していることは想定されていたようだが、LINEアカウントはあるがいかなる電話番号とも連携していない(Facebook連携)と言うと、何も聞かなかったかのような対応であった。同意書は回収されなかった。入国後数日して登録住所の管轄保健所からメールがあったが気づかず、返信しないまま日本を後にした。


今回はLINEにかわりMySOSのインストールが要求された。このMySOSというアプリは、開発元によれば「ご自身や家族の健康・医療記録を行い、救急時などのいざというときにスムーズな対応をサポートするアプリ」とのことだが、入国者健康管理センターと連携することで入国者監視モードになる。一度入国者監視モードに設定すると、入国した日の翌日から数えて14日間は通常モードには戻せないように設計されている(でもアンインストールはたぶんできる)。このアプリを、単にインストールするだけではなくアプリの設定まで係員が1-on-1でチェックし、諸事情によりインストールできない場合は有料でスマートフォン端末をレンタルするという気合いの入れようであった。



当日は14時27分羽田に着陸。14時47分降機。飛行機から出てきてすぐにアメリカからのフライトと思しき人々と合流、「これ大丈夫なの?」と心配になる。15時07分書類検査通過。15時42分検体提出。16時36分結果判明。17時26分入国審査・通関を経てバス乗車。17時59分バス出発。同じグループの人にロストバゲージした人がいたらしく、ターンテーブル前とバス車内でかなり待たされた。ただ、自分もワインを6本持ち込み、税関で申告・支払いをするのに5分少々を要した。バスには20人が乗車。18時02分待機施設到着。18時30分入室。着陸から9時間でようやく待機施設へ入所できた、空港で夜明かしをしたなどの経験談も聞かれたが、自分の場合は着陸から4時間であった。前回は到着後約2時間で税関を通過した。また、前回は検体提出まではきっちり分離されていた動線が検査終了後~入国審査あたりでうやむやになり、税関を通過した後は勝手にどこへでも行けそうな雰囲気であったが、今回は税関通過後もガッチリ監視されていた。


翌12月25日11時過ぎ、厚生労働省より質問票に記載したメールアドレス宛に、搭乗便における陽性者確認の連絡が入る。17時30分過ぎに最終目的地の管轄保健所より陽性者のオミクロン疑いおよび濃厚接触者疑いの旨の入電。退所後の予定について質問されるがこの場では回答を保留。濃厚接触者の場合、退所手続きが通常とは異なるのでホテルと調整するように言われる。


待機期間中はMySOSと宿泊施設独自のシステムで検温結果等を報告するのだが、濃厚接触者になるとそれに加えて新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS、ハーシス)でも報告しなければならなくなり、この三度手間はどうにかならんものかと思った。また、保健所の職員の方はさも当然のようにハーシスハーシス連呼するのであるが、何の予備知識もなく電話口で突然言われた時には、申し訳ないが単語を正確に聞き取れなかった。


MySOSでは健康状態の報告のほかに、所在地の報告も行う。MySOSによる所在地確認は1日3~4回。自分はまったく問題なかったが、人によっては位置情報取得に大問題があるらしく……

AIビデオ通話は架電の1分程前に予告の通知が入り、自分の場合はだいたいお昼すぎと夜に1回ずつであった(徐々に時間が前にズレてきた)。AIが顔を認識してから30秒間録画する。

さらに、どうも濃厚接触者になると入国者健康管理センターのリアル人間から電話がかかってくるようであった。

自分の場合はMySOSでのビデオ通話だった。この人間のオペレーターによるビデオ通話は計4回、2日目の初回のみ予告ありで、残りの3回(11日目、13日目、14日目)は抜き打ちであった。そして、当然ながらオペレーターの顔は見えない。人間相手のビデオ通話でこちらの画像のみが一方的に録画されているというのは非常に印象が悪かった。10日目のPCR検査で陰性の結果が出てからは抜き打ち架電が続き、「報告義務全ブッチの人は完全放置で、確実に通話に出そうな人間を選んでかけてきているのではないか?」「まじめにやってる人への締め付けを強化するいつものアレではないか?」等の疑念が湧いた。オペレーターの方には大変申し訳ないのだが、到底にこやかな対応はできなかった。



待機3日目と6日目に唾液検体を提出。待期期間中の検査方法について明言しているサイトは見つけられなかったのだが、ビジネストラックの14日間待機緩和時の措置から類推すると、待機期間中の検査方法は濃厚接触者かそうでないかにかかわらずPCRのようであった(https://corona.go.jp/news/pdf/qanda_20211125.pdf)。



28日に再度管轄保健所より電話。25日の職員と発言内容・態度が異なり少々混乱する。この電話の後ハイヤーを手配。私は条件を満たしていたので自宅での待機を選択できたが、最終目的地、管轄の保健所、さらには担当保健師によってだいぶ判断が違いそうであった。


28日付で機内でのオミクロン濃厚接触者の定義が変更になったのだが、これについての言及はなかった。


これも保健所、または保健師によって解釈は様々な模様。


そうなのである。自分もどのような経緯で濃厚接触者と判断されたのかHER-SYS経由で質問したが、回答はなかった。



6日目のPCRも陰性だったので退所。濃厚接触者だったので空港で解散とはならず宿泊施設でのピックアップとなった(だから普通の人は宿泊施設でのピックアップができないのだと納得)。

当日の朝にフロントに退所手続について問い合わせると、ピックアップが来たのを確認したら係員が部屋まで迎えに来る、とのことだった。しかし、迎えが来てロビーまで降りてみるとハイヤーはまだ到着していなかった。自分の他にもそのような人がいた。退所者の名前を宿泊者リストから探しているうちにハイヤーが到着したという無線が入ったが、係員は誰もその無線を聞いていない。仕方なく「あの~自分のハイヤー到着したみたいなんですけど」と申告するもまるで理解していない様子。本当はハイヤーまで係員が誘導しなければならないと思われたのだが、係員よりも自分の方が先にハイヤーを見つけてしまって「あーあのハイヤーです。もう行っていいですか」という始末だった。


オミクロン確定の連絡は年明けて1月1日15時前、HER-SYSにて。



帰国前は主にTwitterで隔離生活に関する情報を見ていたが、結局一番役に立ったアドバイスはNiwaさんの一連のツイートであった。


この一連のツイートを元に準備したもので

あってよかったもの→爪切り、カトラリーセット

買ったもの→LANケーブル、HDMIケーブル

あればよかったもの→チョコラBB

持っていったが結局使わなかったもの→トラベルクッカーとインスタントラーメン

であった。


自分は冬に数週間にわたって温かい食事を摂らないことで精神に不調を来したことがあり、温かいものが一切出ない宿泊施設の食事に危機感を持っていたが、冷めた弁当は意外と平気であった。朝昼晩ほぼ毎回松花堂弁当で、美味しく有難くいただいてはいたが、生野菜・果物がほぼゼロだったのは厳しかった。自分は口内炎ができる程度で済み、また6日ならまだ何とかなるが、これが14日続いたら体調崩す人が出てもおかしくないと思った。実際、濃厚接触者として療養ホテル滞在中に体調を崩されて残りの期間は自宅待機となった方もいらして気の毒だった。



この方は自分がCDGで見送ったAF292関空行きに搭乗、自分と同じく機内にオミクロン陽性の方が出たので濃厚接触者として名古屋の療養ホテルへ移動されたようだった。

CDGではAF292関空行きの他にAF276成田行きも見送り、その日にパリから3便飛んでいた日本行きのうち2便でオミクロン陽性が出てしまったのでAF276成田行きの無事が気になったのだが、この便の搭乗者からオミクロン陽性者が出たという確定情報は見つけられなかった。厚生省発表資料によれば、自分と同じ到着日に成田に到着した人のうちスペインからの人とスイスからの人がオミクロン陽性だったが、パリ経由かどうかはわからない。


自分と同じ日に到着した人、同じ日に同じホテルに入った人にはなんとなく親近感がわいた。

この方は自分と同じ日に同じホテルに入った方。当然ながらお弁当が全く同じ。でも自分が撮ったのよりおいしそう笑


待期期間を振り返って思うことは、現場の方々には頭が下がるが、「お願い」を聞いてくれることを前提にオペレーションが組まれている、実現不可能な要求をするが現場の判断による恣意的なお目こぼしがある、法的根拠はないが従わなかった場合に罰則のみがある等、いつものことながらインセンティヴ設計が本当にヘタクソである、ということであった。次回の帰国の時にはこのようなオペレーションが必要なくなっていることを祈る。

Search This Blog

History

2010年3月31日 再々移転・改題
2008年7月16日 再移転
2003年2月26日 移転・改題
1999年1月2日 開設

QooQ