主に旅団1にいない(≒海外版未実装)キャラクターたちのトラベラーストーリーの感想。
単に「いない」のではなく「未実装」だと、他のキャラたちとは別枠というか、少し特別な感じがするのが面白い。
海外版実装済で、旅団2にいて旅団1にいない団員はリネット、エリザ、トレサ(ただしEx)くらいである。
なお、☆3キャラのトラベラーストーリー序章クリアがクエスト受注条件というのは全部撤廃されていた。
【サイラス】
一行あらすじ: シアトポリスで作劇をしている旧友ミロスの依頼が発端で事件に巻き込まれる。
サイラスのトラベラーストーリーは無印のサイラスの章を思い出して面白かった。謎解きのヒントがトラベラーストーリー内で完結しているのがいい。名授序章みたいにその区切りで説明されてないことを突然なぞなぞとして出してくるのはフェアじゃないと思う。
シメオンが登場したのでプリムロゼを先頭にしてみたが、プリムロゼは案の定表示されなかった。というかシメオンとサイラスをここで会わせていいのだろうか? 旅団に居合わせてしまうのはもう仕方ないとしても、トラベラーストーリーで知り合ってしまうと無印プリムロゼ編で本格的に齟齬が生じると思う。
二次創作に、もったいぶって全然説明しないサイラス、自分は他人のことに首を突っ込むけど他人を自分の懐には絶対入れないサイラスを描写した作品があり、それを読んだときはそうかなあと思っていたけど(無印の方は結構忘れてるところもある)、このトラベラーストーリーを見たら確かにそう見えるなと納得してしまった。
【トレサ】
一行あらすじ: 配達を頼まれた商品を盗まれるが、商品を取り戻す道中でわらしべ長者となる。
お金は使い方が大事というのは同意するけど、あのお金の使い方はないと思った。盗人に追い銭してどうするのか。アーフェンやメレットが治療代を受け取らないのとは訳が違う。だいたい、何の理由もなく泡銭を与えたところで大抵は身を持ち崩すだけである。さらなる地獄への誘いか?
贈与するにしても、せめて盗まれた品の代金は引いて贈与すべきだったし、もっと言えば、たとえばコルツォーネ商会支部を設立させ、そのための資金を貸し付けるという体にでもすればよかった。オルネオもオルネオで、お金の使い方も練習あるのみとは言え、仕方ないで済ますべき場面ではない。
トラベラーストーリークリア前にはトレサの帽子に羽がついてないのがクリア後につくらしいのだが、旅団2のトレサはEx狩人なのもあり気がつかなかった。こういう芸の細かいところは好きである。
トレサのストーリーでも結構遠出するが、アーフェンの時のようななクエスト受注条件は見なかった。受注はできるけど単に当該箇所に行けないだけなのだろうか。2節に入る前にトラベラーストーリー開始しておけばよかったと思うが、後の祭りというかこれも事後諸葛亮であろう。
【デュラン】
一行あらすじ: 交易商人ロレンツの護衛を引き受け、連れ戻そうとするかつての仲間と訣別する。
デュランはどうもバラッドと取り違えがちなのだが、この物腰の柔らかさ優雅さはやはりバラッドと逆であるべきなのではないのか。イラストではそれなりにお行儀が悪いのだが……。
物腰柔らかだけどもやるべきときはきっちりやるところはとても好きである。
それにしてもマフィアの治める町だけあって治安が悪い。
デュランは基本的に海が好きで(隠してあった帆を取りに行くときのウキウキっぷりから察せられる)、海賊は彼にとって「法すら超えた自由」を体現する手段だった。単に海賊もとい古巣ではそれができなくなったので足を洗っただけなのであった。
しかし、本人も自分で言っているように、「法すら超えた自由」を追い求めることができるのは海賊の中でもなかなか稀であろう。
守るものが増えて、不本意なことでもやらざるを得なくなったかつての仲間にシビアな言葉を投げるデュラン。それができたら苦労はない……が、それは逆で、むしろそれをするために戦うべきなのかもしれない。
求めるものが違うだけで、自分の追求するものに対して忠実かつ割と手段を択ばないという点はヴィオラに似ていると思った。ヴィオラは刺激、デュランは自由。デュランも意外と「選ばれし者」(≒誰かから一方的に与えられた「理想」にNoを言える者)の素質があるのではないか。
冒頭では追うべき夢をなくして飲んだくれていたデュラン。
しかし、かつてのボスと訣別することで自らの為すべきことを思い出す。
【ケネス】
一行あらすじ: 貧困対策の実践としてニジザケの養殖を始める。
まず思ったことは、ハインツも似たようなことに問題意識を持っていたなということであった。問題へのアプローチの仕方は、ケネスは実践面から、ハインツは理論面・精神面からという違いはあるが、この二人は話が合うのではないだろうか。それともアプローチ方法の違いから喧嘩別れに終わるだろうか。
オルステラ大陸の技術レベルから推察される学問の発展具合に対してサイラス先生の思想が先進的すぎるとは初回プレイ時にも感じたことである
— ロイコ𓂋𓍯𓇌𓎡𓍯 (@Leukosaphir) November 19, 2018
サイラスもそうだったが、ハインツとケネスもサイラスとは違うベクトルで相当先進的である。自然科学ですら理屈が先、観察が後、という時代が長く続いたのに、ケネスは社会学分野で既に実践を見据えている。なかなか稀有な視点であると思う。ハインツはクリフランドの領主だが、ケネスのバックグラウンドが気になるところである。
ケネスは、一度は稚魚全滅というアクシデントに見舞われながらも、めげずに原因を究明してニジザケ養殖の基盤を整えた。貧困対策が専門で、ニジザケ養殖は彼にとっては単なる手段でしかないにもかかわらずニジザケ養殖の目途をつけたというだけでもすごいのに、それに加えて本来の目的であった雇用の創出まで達成して、眩しすぎる功績である。
「なんでいっつも、俺たちは……どこに行っても邪魔者扱いされるんだよぉ……」って、ちょっと気に入らなければ人の話を聞こうともせずすぐに暴力に訴えるからでしょ、と思ってしまった。真に救いが必要な者たちは救済したくなる姿をしていない。
【バラッド】
一行あらすじ: 家督争いを嫌って家を出たが父親が倒れ、従業員たちから説得され叔父と決着をつけに家に帰る。
バラッドも、最初から貧者救済を目指していたわけではなかったと思うけれども、社会に居場所を見つけられなかった者たちに職を与えたという点ではケネスと共通している。
実際のならず者はこんなに素直に自らの至らなさを認めないし、自分を襲ってきた連中を雇用しようという度量も普通は持てない。しかも、バラッド商会はまだ旗揚げ前である。まだ元手が何もない状態で給料が払える未来を確信して人を雇える胆力がすごい。
こんなことを言われてしまってはもうバラッドに惚れるしかない。
ケネスもバラッドも、オルステラの篤志家である。旅団には義賊を目指す者・かつて義賊であった者が多いが、世直しには本当はこういう事業家がもっと必要なのだと思う。義賊活動は対症療法でしかない。義賊というのは何も持たない人々の最後の縁なんだというのはわかるけれども、だからと言って義賊を美化するのはナイーヴすぎる。
【エフレン】
一行あらすじ: サンシェイドで聖火教の信者が続けて失踪するという事件の解決に乗り出す。
ギルデロイ&ホセ組と違い、エフレンの声はまんまクレスの声だった。見かけや性格に対して声が穏やかすぎると思ったが、時にはそのようなこともあるであろう。
エフレンはあっけらかんと「司祭を殴ってエンバーグロウから追放された」と語るが、それで自身の神官への適性を疑わないあたりメンタルが強すぎると思った。エフレンが事件への介入を宣言したときにデヴィッド司祭が明らかに迷惑そうにしていたのが面白い。
この「導いてやる……あの世にな」というセリフは二次創作でも使われており知ってはいたのだが、まさか本当に手を下しているとは思わなかった。暴力で事件を解決するスタイルはステッドと共通しているが、ステッドとは違い、エフレンの場合は杖ではなく素手である。
ステッドはまだ自らを「クズ」と呼ぶだけのメタ視点を持っている。しかしエフレンにはその辺の自省が全く見受けられず、実はプロメと同類かなという気もしなくはない。奇しくも、どちらも火属性の神官である。
[参考にしたサイト]
・【オクトラ】その109・トレサの変化とストーリー進行!!