オクトラ大陸の覇者 設定についての考察(三授編まで) その2:レイヴァース家と竜石

04 June 2023

Octopath CotC オクトラ大陸の覇者

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考察その1で扱えなかったレイヴァース家と竜石について、以下の内容(ネタバレを含む)を踏まえて考察してみた。
・大陸の覇者名声を授けし者1~3章
・大陸の覇者ヒースコートのトラベラーストーリー
・大陸の覇者ロンドの追憶
・大陸の覇者追憶の書「レイヴァース家の人々」
・大陸の覇者追憶の書「東方の国」
・無印テリオン編1~4章
・無印クリア後に開放されるサブストーリー

【まとめ】
・竜石は大陸の覇者でも存在はする。ただしフィニスの門を封印する役割はなくなっている(三授終章時点)。
・ロンドが13歳の時にレイヴァース家を襲撃した盗賊は黒曜会の手下と考えて矛盾がない。サザントスがその時ボルダーフォールに滞在していた理由として、クロスフォード家の訪れるためだったという可能性がある。
・黒曜会/盗賊から襲撃された後のレイヴァース家については、ロンドの存在により完全に辻褄が合わなくなっている。
・竜石の奪回に腕のいい盗賊を雇うことを提案したのはロンドだった。



【違和感を抱いた箇所】
名授編で無印との整合性についてまず気になったのは、ロンドとロンドの実家レイヴァース家についてであった。
セラフィナの企てを阻止するために禁忌の神殿の最奥部へ向かう途中、ロンドは驚くべき質問を発する。

「フィニスの門は……その後どうなったので?」ではない。君の家が代々守ってきた竜石が何のためのものなのか、まさか君は知らないのか。

よしんば竜石にフィニスの門を封印する役割がなかったとして、「聖火騎士の中でも上位の実力を持つ者しか認められない法衣を纏った若者」であればこの程度の歴史は教養として身に着けているべきではないのか。ナイーヴ(原義)なところが時折顔を見せるロンドだが、この質問にはサザントスでなくともため息をつくであろう。

「何だかよくわからないが、とりあえず代々守れと言われているから守っている」とでも言わんばかりである。しかし、この口ぶりからするに、本当に知らない可能性も否めない。
テリオンがコーデリアに竜石とは何なのかと訊ねた時も、コーデリアは口ごもって代わりにヒースコートが答えていたので、この兄妹には本当に知らされていなかったのかもしれない。


【竜石】
竜石とは、フェリエン王国第二王子ベオウルフが東方より入手し、オージン・クロスフォードがフィニスの門を封印するのに用いた代物である。ベオウルフがホルンブルクを建国した後に、友人の騎士オスカー・レイヴァース(初代レイヴァース家当主)に託した。

「恐るべき力が秘められている」確かに、フィニスの門を閉じたり開いたりできるのだから恐るべき力である。

しかし、竜石の役目は覇者の世界線では指輪に取って代わられていて、全くなかったことになっていた。竜石はヒースコートのトラベラーストーリーでわずかに触れられていた程度である(前出のスクリーンショットがその該当部分)。

意外な人物が竜石について探っている話を聞けるが、それはまた別の話である。


【神名暦1608年レイヴァース家襲撃事件】
レイヴァース家はロンドが13歳の時に竜石を狙う盗賊に襲われたという。年表によれば三極編開始7年前(神名暦1608年)にレイヴァース家の所有する竜石が黒曜会に奪われている。

名授編の時点でロンドは20代。ロンド君は家臣を殺され、自分の剣で自分も妹も守れなかったことひたすら悔いているが、この襲撃によって家族が殺されたとは実は言っていない(ついでに、竜石が奪われたことについても何も言及していない)。
従って、これがレイヴァース伯夫妻の死亡後に起こった事件として考えても矛盾がなく、この盗賊のバックに黒曜会がいたと考えるのは十分リーズナブルである。

この時はサザントスが現れてロンドとレイヴァース家を救ってくれたのだが、サザントスは何の用があってボルダーフォールに滞在していたのか。
年表は時系列順に書かれているようなので、レイヴァース家が襲撃されたのはグラム・クロスフォードの妻が亡くなった直後ということになる。グラム・クロスフォードが妻の病の治療法を求めて旅立ってから2年が経過し、サザントスはボルダーフォールにあるクロスフォード家の様子を見に訪れたという可能性はある。

ちなみに、このレイヴァース家襲撃事件は、執事の手にかかるとずいぶんニュアンスが違って聞こえる。

テリオンがウェルスプリングで緑竜石を奪回し損ねたと報告した時、即座にダリウスの名前とノースリーチという地名を出してきたヒースコートが、最初に竜石を盗んだ輩が何者か、もっと言えば黒曜会に強奪されたと気がつかないはずはない。襲撃から8年近く経ってようやく行動を起こしたのは、単独で黒曜会を敵に回すのは得策ではないと見て機を窺っていたからであろうか。
というのも、三極編開始3年前にあたる神名暦1612年に、リブラックが竜石を用いてフィニスの門を開いているのである。そこで用済みとなって放出された可能性はある。リブラックが慎重な性格なら手元に残しておくとは思うが……。


【ロンドの存在がレイヴァース家に与える影響】
年表によれば、神名暦1608年にレイヴァース伯夫妻が何者かに仕組まれた事故で亡くなって、その年にコーデリアがレイヴァース家当主となっている。しかし、覇者の世界線ではその時点では兄であるロンドがまだレイヴァース家におり、長男なのだから当主としての義務を果たすべきだという想いと、弱いまま家に居続けても無意味だという想いの間で葛藤している。

ロンドのモノローグ「確かに僕は、レイヴァース家の長男として家を守り、奪われた竜石を取り戻し妹のコーデリアを守る責任がある」

ロンドが家を出て聖火騎士になる決心をしたのは盗賊による襲撃から数年後の話で、コーデリアがレイヴァース家当主となったのもその時のように見える。
当主であった両親が亡くなって混乱している時期に、コーデリアが天涯孤独でなく兄が傍にいたなら、無印で描写されていたような人間不信には陥らなかったのではないだろうか。しかし、そうなってしまうとそもそもテリオンのストーリーが成立しなくなる。

これもロンドが家を出た後の話と解釈すればよいのだろうか。両親が亡くなった直後ならいざ知らず、当主が亡くなって数年後に成人前の兄が家を出たからといって、残されたコーデリアが人間不信に陥るほど人が集ってくるものだろうか。ロンドの存在はどうもレイヴァース家のその後と調和しないように思うのである。

ヒースコートのトラベラーストーリーではヒースコートとコーデリアがまさに今信頼関係を築いているように見える。

第17回オクトラジオによればロンドの好きなものは「他人を信じること(どこかの執事の教え)」とのことだが、いつそれを体感する機会があったのだろう。コーデリアのように体験から腹落ちすることなく、頭でしか理念を追っていなかったから、肝心な時に「人の良心、可能性を信じることができなかった」のだろうか、と思ったりした。

ヒースコートとロンドがフレイムグレースの大聖堂で再会した際に、ヒースコートでも竜石の奪回が難航していると聞いたロンドが腕のいい盗賊を雇ってはどうかと提案する。このエピソードによって、ヒースコートがかつてどのようにレイヴァース家の先代当主に迎えられたか思い出したとしても、無印の設定とは矛盾しない。



竜石が完全にないがしろにされているのは、無印のファンとしては残念である。この先で竜石が日の目を見る可能性はあるのだろうか。ロンドについては、彼が登場した当初から思っていたのだが、結局ロンドがレイヴァース家の出身でなければならない理由は何だったのだろうか。なぜどこか別の貴族の子弟ではだめだったのか。これも4節に入ったら解明されるだろうか。



[参考にしたサイト]

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2010年3月31日 再々移転・改題
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