全授4章はフィニスの門の調査がテーマで、三極編開始5年前の神名暦1610年に滅びたあの国が舞台である。
全授2章で辺獄について調査するためにベルケインへ赴いていたソロンとロンド。辺獄からやってくる亡者たちを五月雨式に個別撃破していても埒が明かないので軍を率いて辺獄に攻め入りたいが、そのためにはフィニスの門を通る必要がある。フィニスの門の存在は長きに渡り秘匿されてきた上、フィニスの門の存在を知るホルンブルグ王国はすでに滅亡していて何も手掛かりがなく、前回のベルケインでの調査はそこで打ち切りとなってしまっていた。
確かに「死人に口なし」ではある。バルジェロらしい喩えだとも思う。ただ、ホルンブルグがフィニスの門の存在を公にしようとしたので阻止するために滅亡させられたのならこの言い方もまだわかるのだが、この文脈ではそぐわない気がする。
「死人に口なし」ではあるが「死人と話す術ならある」ということで、ホルンブルグへ調査に赴くことにした一行。タトゥロックのトラベラーメモリーにて、タトゥロックの一族は生きながらにして死の国を視ることがある、とタトゥロック本人が語っている。
ロンドはタトゥロックのその「僕らにはない力」を見込んで、タトゥロックを調査に連れていくことにする。ロンドは恩赦の可能性を示唆するが、言うまでもなくこの女帝はそんなものには興味はなく、不穏な行動を取ったらロンド自身が罰すると念を押すと「フフ……それは愉しみじゃな」と笑う。完全におちょくられている。
タトゥロックは、こんな牢など出ようと思えば出ることはできるが、何らかの理由によりやはり自らの意思でそこに留まっているように見える。
ホルンブルグは他の辺獄の町と違って、とある事情により亡者の呪縛がない(が、町にたどり着くまでの道中にデッドモンスターが呪縛されている)。
この子供たちの会話をオルベリクとエアハルトが聞いたら、彼らは何と言うのだろう。
ストーリーではオルベリクとラースは当然表示されないが、そもそもホルンブルグに連れてくることができてしまっていいのか? とは思う。
ホルンブルグにはオグランドの従騎士もいて、オグランドはフレイムグレースでやさぐれている場合ではない。連れてきて喝を入れたい気分である。余談だが、ライオネルのトラベラーストーリーはオルベリクまたはラースを先頭にしてもプレイできるので、彼らとオグランドは面識はなさそうであった。
ホルンブルグ城の最奥に鎮座するアルフレート王と、伝説の聖火守指長ソンゾーン。ソンゾーンの口より、フィニスの門を通る方法が語られる。
そんな予感はしていたのだが、やはりフィニスの門は開いていないことになっているようだ。
もう一度強調したいのだが、三極編開始3年前にあたる神名暦1612年に、リブラックが竜石を用いてすでにフィニスの門を開けている。フィニスの門は大陸の覇者のストーリー開始時点ですでに開いている。
──時間軸的なものをおさらいしますと、あの時点ですでにリブラックは、グラムを利用してのガルデラ復活に失敗していることになりますよね?
鈴木:そうですね。物語中で、ある人物との戦いで深手を負わされたことで、リブラックはセラフィナの中に逃げ込んで力を蓄える必要があったと描写されています。彼女に深手を負わせた人物こそ、他ならぬグラムとなります。
ここまで把握していてなんで門が開いていないことになっているのか、本当に意味が分からない。継章までクリアすればわかるのか?
ただ、リブラックがすでに封印を解いていたからこそあの程度の干渉で門の内側に入れるようになったという解釈はできる(全授5章)。
「炎を従えたなら門への道は開ける」ということでロンドは聖火の試練を受けることになってしまう。サザントスの時はどのような試練が行われていたのであろうか。彼には継ぐべき聖火神の指輪もなかった。
ロンドが炎を得た瞬間。こういう演出は本当に上手いと思う。
試練の途中でロンドが聖火騎士を志した時の回想シーンが流れる。長男なのだから当主としての義務を果たすべきだという想いと、弱いまま家に居続けても無意味だ(から聖火騎士になりたい)という想いの間でロンドは葛藤していた。
ロンドが思いついた解決策は「(当主として)家を守り、竜石を取り戻すために聖火騎士になる」というものだが、なかなかアクロバティックだと思う。
両親を亡くして一番つらい時にこうやって悲しみを共有できる肉親がいて、何があったら周りの人間がすべて敵に思えるほどの人間不信になるのか。ロンドはたしかに物理的にはコーデリアのそばにはいないが、コーデリアはひとりではないと思うのである。
試練を乗り越えた後、ロンドはソンゾーンから名を尋ねられる。
ロンドのトラベラーメモリーでは、ロンドはサザントスにレイヴァースの名は捨てたと言っていたのに、こういう時はレイヴァースを名乗るのが興味深い。それとも、こののちに何か思うところができて、再びレイヴァースを名乗ることにしたのであろうか。
他にもトラベラーメモリーとストーリー中での回想で相違点がある。ロンドが騎士団に入団するときの状況である。回想ではサザントスがボルダーフォールまでロンドを迎えに来ていたのに、ロンドのトラベラーメモリーでは一人でフロストランドを歩いていた。
親友のオスカー・レイヴァースに竜石を託したベオウルフの末裔と、親友のベオウルフから竜石を託されたオスカー・レイヴァースの末裔の邂逅。無印をプレイした人間にとっては胸熱なシーンである。
感動的ではあるのだが、アルフレート王は最初にロンドが名乗ろうとしたとき「……知っておる、そなたらのことは全て」と言ってロンドの自己紹介を遮った。それなのに、レイヴァースの名を聞いた後に思い出したように「こうして相見えたのも……定めか」とか言われてもな、というのは思わなくもなかった。
ようやく覚悟が決まり、サザントスに言われたことの意味を理解したロンド。全授4章は実質的にロンドのストーリーであった。登場人物たちが前向きに試練を乗り越えていく姿は素直に良かった。
現世と辺獄にて、互いに同じ問いを投げ合う師弟。
サザントスはサザントスなりにロンドに対して思い入れがあったのだなという描写はこれまでにも時折挟まれてはいたが、なにしろロンドに対するサザントスの態度がひどすぎるので、サザントスの印象は依然として悪いままである。貴様呼びとか、正直軽蔑しているようにしか見えない。サザントスは何度か「甘ったれるな」とロンドを𠮟責していたが、ロンドに甘えているのはその実サザントスの方である。
自分はツンデレは単に情緒が未成熟なだけで魅力でも何でもないと思っているのだが、サザントスの人気というのは彼のツンデレみにもあるのだろうか?
ボス戦の記録。ようやく☆5にクラスアップしたザンターのデビュー戦となった。